2025年の東京都最低賃金について、時間額1,226円(+63円)とする答申が公表されました。毎年の改定とはいえ、「いつから適用されるのか」「自社の給与は最低賃金を下回っていないか」「人件費への影響はどこまで及ぶのか」と、実務対応に不安を感じている企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、2025年東京都最低賃金の答申内容と適用時期の考え方を整理したうえで、最低賃金の正しい計算方法、業種別の注意点、求人媒体ごとの更新ポイント、活用できる助成金や事前準備の要点まで、実務目線で分かりやすく解説します。
※本稿は2025年8月27日の答申時点の情報です。適用日・金額の最終決定は、東京労働局長による告示で確定します。最新情報は公式サイトでご確認ください。
本記事のポイント
最新の答申額「1,226円」と、いつから適用されるかの目安
最低賃金が決定するまでの流れ(目安・答申・告示の違い)
給与計算における算入・不算入のルールと、具体的な時給換算の方法
業種別・求人媒体別の実務チェックポイント
告示までに準備しておきたいことや、特定(産業別)最低賃金の注意点
【速報】2025年東京都の最低賃金、答申内容のポイント
金額:1,226円(+63円)
ステータス:2025年8月7日、東京地方最低賃金審議会が東京労働局長に答申しました¹。
適用見込み:例年は10月初旬(2024年は10/1発効)。2025年は早ければ10/3発効の見込みで、正式日は告示で確定します (2, 7)。
背景:厚生労働省の中央最低賃金審議会が示した令和7年度の目安に基づいています。全国加重平均は1,118円(+63円)です³。
自社の給与をチェック:最低賃金の計算と確認のポイント
最低賃金を下回っていないかを確認するには、「毎月支払われる基本的な賃金」を時給に換算して比較します。その際、以下の手当は最低賃金の計算に含めないルールとなっているため、注意が必要です⁴。
計算と確認の方法
比較対象:毎月支払われる基本的な賃金を時給換算し、都道府県の地域別最低賃金と比較します。
月給から時給への換算式:
月平均所定労働時間 =(年間所定労働日 × 1日の所定労働時間)÷ 12
時給換算 = 月給 ÷ 月平均所定労働時間
特に注意したいポイント:
固定残業代は、割増賃金に相当する部分であるため原則として算入しません。給与明細などで基本給と割増部分の内訳が不明瞭な場合、意図せず最低賃金を下回ってしまうリスクがあります。
試用期間や研修期間中のスタッフにも、最低賃金は適用されます。
複数の拠点をお持ちの場合は、事業所のある都道府県ごとに最低賃金を確認する必要があります。
更新方針:官報で発効日と金額が告示され次第、本記事の「速報」欄とFAQを更新し、最新の情報をお届けします。
【業種別】特にご相談の多いケースと対策のヒント
飲食業:深夜帯や短時間シフトが多い場合、割増賃金の計算や端数処理で最低賃金を下回るケースが見られます。対策として、週ごとの勤怠締めで時給換算を記録しておくことをお勧めします。
医療・介護:夜勤手当や資格手当が最低賃金の計算に算入されるかを、就業規則で明確に定義しておくと安心です。特に夜勤専従の方や短時間ヘルパーの方の時給換算は、月次で監査されるとよいでしょう。
建設・運輸業など:出来高払制の場合でも、保障給を労働時間で割った額が最低賃金を下回ることはできません。現場日報などから労働時間を正確に把握し、時給換算できるルールを整備することが求められます。
求人票も早めの準備を:主な求人媒体別の更新ポイント
Indeed/Indeed PLUS:媒体側の給与情報反映には時間がかかる場合があります。まずは求人票の「給与下限額」と「勤務地」だけでも先行して更新しておくと、応募者との認識のズレを防げます。
タウンワーク/バイトル等:原稿だけでなく、画像やテンプレート内の時給表示も一括で更新しましょう。各支店や店舗で古いテンプレートが使われていないか、あわせて確認すると万全です。
自社採用サイト:もし時給で競合に勝つのが難しい場合は、柔軟なシフト、学べる環境、通勤の利便性といった、給与以外の価値をより丁寧に伝える工夫が効果的です。
求人票の書き方など、無料相談はこちらから ▶
告示までに準備しておきたい3つのこと
給与テーブル全体のバランス調整:最も低い等級の給与だけを引き上げると、すぐ上の等級との差が縮まり、不公平感につながる可能性があります。この機会に、初級から中級クラスの給与幅や評価基準の見直しを検討されてはいかがでしょうか。
人件費の再シミュレーション:店舗や職種ごとのシフトを基に、人件費がどう変わるかを試算してみましょう。原価率や利益への影響を確認し、必要であれば価格改定などを検討する重要な判断材料になります。
給与以外の魅力も再整理:地域の時給相場を確認しつつ、自社で提供できる働きやすさ(柔軟なシフト、学べる環境、通勤の利便性など)を改めて整理し、求人活動でアピールしていくことが大切です。
「特定(産業別)最低賃金」も忘れずにチェック
特定の業種には、地域別最低賃金よりも高い金額が定められている「特定(産業別)最低賃金」が適用される場合があります。東京都では廃止された業種もありますので、自社が該当するかどうか、最新の一覧で一度ご確認ください。
参考:東京都の特定(産業別)最低賃金 改正一覧(PDF)
よくあるご質問(FAQ)
Q. 試用期間や研修中でも最低賃金は適用されますか?
A. はい。試用・研修期間であっても最低賃金は適用されます。
Q. 今年の東京の発効日は確定しましたか?
A. 現時点では告示待ちです。東京労働局の答申資料では、早ければ10月3日発効の見込みと案内されています。最終的な日程は、官報での公示(告示)によって確定します。
Q. 「特定(産業別)最低賃金」とは何ですか?
A. 特定の産業について、地域別最低賃金より高い水準の最低賃金を定める制度です。両方が設定されている場合、より高い方の金額が適用されます。
Q. 固定残業代は、最低賃金の計算に含めてよいのでしょうか?
A. 原則として、算入しません。固定残業代は時間外労働などに対する割増賃金とみなされるため、最低賃金の計算対象外となります。計算のベースは、基本給など通常の労働時間に対する賃金となります。
出典
東京労働局:2025年の東京1,226円(+63円)答申/「早ければ10/3」の見込み
厚生労働省:令和7年度 目安(全国加重平均1,118円)
東京労働局(2024年実績):1,163円/10月1日発効
厚生労働省:最低賃金の対象となる賃金(不算入の定義)
東京労働局:東京都 特定(産業別)最低賃金 改正一覧
更新履歴
脚注
東京都の最低賃金の引上げを答申(2025/8/7)
東京都最低賃金は10月1日から時間額1,163円になります(2024/8/30官報公示・10/1発効)
令和7年度 地域別最低賃金額改定の目安について(答申・PDF)
最低賃金の対象となる賃金(不算入項目)
派遣労働者の最低賃金(適用は派遣先所在地)
最低賃金法 第4条
東京都最低賃金の63円引上げを答申(PDF:早ければ10/3発効の記載)