「求人を出しても理想の人が来ない」「せっかく採用したのにすぐ辞めてしまった」……。こうした悩みは、実は「どんな人が欲しいか」の中身が、ふわっとしていることが原因です。ただ「30代・経験者」と決めるだけでは、他の会社の求人に埋もれてしまい、本当に相性が良い人には届きません。
この記事では、難しい理屈は抜きにして、現場の「なんとなくこんな人」という声をどうやって言葉にし、自社だけの魅力と結びつけていくか、その「やり方」に絞って分かりやすく解説します。この記事を読めば、今日からでも「自社にピッタリな人」を迷わず探せるようになるはずです。
①条件だけじゃない!「どんな人か」を具体的に決める理由
多くの会社が採用で失敗するのは、「年齢」や「資格」といった目に見える条件だけで人を判断しようとするからです。今の時代、仕事を探している人は「お給料」だけでなく「自分に合う職場か」「自分の考え方と合うか」をすごく大事にしています。だからこそ、ただの条件だけでなく「どんな性格か」「何を大事にしているか」まで決めておかないと、結局はミスマッチが起きてしまいます。
現場の「なんとなく」を「みんなの共通ルール」にする
採用の時によく出る「うちの雰囲気に合う人」「頭の回転が速い人」という言葉。これ、実は人によってイメージがバラバラです。この「なんとなく」をそのままにしていると、面接官によって合格・不合格の基準がズレてしまい、良い人を逃す原因になります。
欲しい人をしっかり言葉にすることは、社内の評価を一つにするだけでなく、応募してくれる人に「私たちはあなたのような人を待っています」と正しく伝えるための準備なのです。
他の会社に負けない「うちだけの魅力」を見つける
どれほど素晴らしい理想の人を決めても、それが「どこにでもいる完璧な人」だと、有名な大企業に取られてしまいます。大事なのは、その人が仕事で悩んでいることや、本当は求めていること(本音)に対して、「うちならこう解決できるよ!」と言えるポイントを見つけることです。
これさえハッキリすれば、条件面で勝てない相手がいても、自社にピッタリな人をしっかりと惹きつけることができます。
「すぐ辞めない」ために大事なのは価値観のまじわり
すぐに辞めてしまう一番の理由は、「仕事ができないから」ではなく「社風に合わなかったから」です。「うちの会社はどんな考え方を大事にしているか」「どんな動き方を褒めるのか」をあらかじめ決めておきましょう。
これだけで、面接でチェックすべきポイントがハッキリします。スキルを確認するのは「入社してもらうため」ですが、人柄や考え方を確認するのは「入社した後にずっと楽しく働いてもらうため」に欠かせないことなのです。
②【実践】現場に聞いて「本当に欲しい人」をあぶり出すコツ
理想の人を「机の上」だけで考えようとしても上手くいきません。大事なのは、実際に一緒に働く現場の人から「生の言葉」を聞き出すことです。人事だけで決めるのではなく、現場のリーダーや、今バリバリ活躍しているメンバーに話を聞いてみましょう。ここでは、誰でもできる「現場ヒアリング」のコツを3つのポイントにまとめて紹介します。
「今いるエース社員」の動きをマネしてみる
まずは、今自社で一番活躍している人をモデルにしてみましょう。その人が「なぜ上手くいっているのか」「困った時にどう動くか」をじっくり観察したり聞いたりします。例えば「仕事が早い」と言っても、「パパッと行動する」のか「段取りをしっかり組む」のかでタイプが違います。この「具体的な動き方」をマネして理想の人に組み込むのが、失敗しない一番の近道です。
「過去の失敗」から逆算して考える
「どんな人が欲しいか」が思いつかない時は、「過去に失敗したケース」を思い出してみましょう。仕事はできるのになぜ定着しなかったのか、現場が「ちょっと違うな」と感じたのはどんな時だったか。
これを深掘りすると、「うちの会社ではこれだけは譲れない」という本当の条件が見えてきます。失敗した理由をひっくり返せば、自社の環境でストレスなく働ける人の姿が浮かび上がってきます。
理想の人の「1週間の悩み」を想像してみる
ヒアリングの最後に、その理想の人が「今の仕事でどんなことに困っているか」を想像します。「仕事は楽しいけど、残業が多くて家族との時間が取れない」「頑張っているのに全然評価されない」といった、今の職場での悩みです。
この悩みこそが、自社が求人広告で書くべき「アピールポイント」になります。悩みを解決してあげられるメッセージを作れば、相手の心にグサッと刺さるようになります。
③「うちの良さ」を見つけて、ライバルと差をつける
理想の人が決まったら、次は「うちの魅力」を整理します。他社と同じようなことばかり言っても、相手には選んでもらえません。「うちの会社ならではの良さ」を、理想の人の悩みに合わせて伝えていく必要があります。
有名な会社でなくても、大きな会社でなくても大丈夫。むしろ「マニュアルがないから自由にできる」といった、一見マイナスに見えることでも、それを求める人にとっては大きな魅力に変わります。
「当たり前」の中に隠れた「すごさ」を書き出す
社内では当たり前すぎて気づかないことの中に、実はすごい魅力が隠れています。「返信がめちゃくちゃ早い」「みんなあだ名で呼んでいる」「お互いに教え合う文化がある」など、小さな特徴を全部書き出してみましょう。
それをライバル会社と比較して、理想の人が「いいな!」と言ってくれそうなものを探します。この「うちだけの特徴」が、求人広告に説得力を出すための隠し味になります。
相手が欲しいものと、うちができることをつなぐ
書き出した自社の特徴が、理想の人の「やりたいこと」や「働き方」と合っているかを確認します。例えば、相手が「専門的なスキルを磨きたい」と思っているのに、うちが「何でも幅広くやってもらう」という特徴を出しても、心は動きません。
逆に「任されたい!」という人には最高のアピールになります。この「相手の願い」と「うちの武器」をつなぎ合わせることで、お互いに納得できる採用ができます。
「選ばれる理由」を一言のメッセージにする
自社の良さと理想の人の願いがつながったら、それを短いメッセージ(キャッチコピー)にします。これは、求人を見た瞬間に「あ、これ自分のことだ!」と思ってもらうためのものです。
例えば「安定もいいけど、もっと自分の力を試したいあなたへ」といった、相手の気持ちに寄り添った言葉を選びます。飾った言葉よりも、相手の今の本音に突き刺さるような、生っぽい言葉を選ぶのがポイントです。
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④決めた人を「求人票」や「面接」にしっかり活かす
せっかく具体的に決めた理想の人も、求人票や面接で使わなければ意味がありません。決めた内容を、誰が読んでも分かる「共通のルール」にして、採用の最初から最後まで使い続けましょう。
求人票にはその人がワクワクするストーリーを書き、面接ではその人が本当に理想に合っているかを確認する質問を用意します。ここでは、決めたことを無駄にしないための使い方のコツを解説します。
「自分のことだ!」と思わせる求人の書き方
求人票の仕事内容のところに、決めた理想の人の要素を混ぜ込みます。「〇〇な経験があるあなたには、ぜひこんな活躍をしてほしい」と、直接話しかけるように書くのがコツです。
また、実際に働いている様子がドラマのようにイメージできるように、具体的なエピソードを盛り込みます。「やりがいがあります」といったありきたりな言葉ではなく、本当の話を伝えることが、良い応募を増やす近道です。
価値観が合うか確かめる「面接の質問」を作る
理想の人に合っているかどうかを確認するために、あらかじめ決めた質問を出すようにします。例えば「自分で動ける人」が欲しいなら、「誰からも指示がない時に、自分で考えて動いたことはありますか?」と全員に聞くようにします。
これだけで、面接官の「なんとなく好き・嫌い」で決めることがなくなり、みんなで同じ基準で「うちの理想にピッタリだね」と判断できるようになります。
「思っていたのと違う」をゼロにする
内定を出した後のフォローでも、決めた理想の人に合わせて、自社の魅力を繰り返し伝えます。良いところだけでなく、あえて「ここは大変だよ」というリアルな部分も正直に伝えましょう。
理想にピッタリな人は、大変なことも含めて「自分がなんとかしたい!」と思ってくれるはずです。隠さずに全てを伝える誠実な姿勢が、相手に「この会社に入りたい!」と決心させる一番の決め手になります。
⑤「作りっぱなし」にせず、状況に合わせて変えていく
採用ペルソナ(理想の人)は、一度作って終わりではありません。世の中の仕事探し事情はコロコロ変わりますし、実際に求人を出してみたら「条件が厳しすぎた」と気づくこともあります。大事なのは、定期的に見直して、「今のうちの会社」と「今の世の中」に合っているかを確認することです。採用をスムーズに進めるための、見直しとメンテナンスの考え方を紹介します。
反応がない時は、勇気を持って「条件を削る」
もし求人を出しても反応が薄い時は、条件を盛り込みすぎているかもしれません。その時は、絶対に譲れないものだけ残して、他は「入ってから覚えてくれればOK」と削ってみましょう。
理想は高く持ちたいものですが、まずは応募が来ないことには始まりません。一番大事な「考え方」や「性格」は守りつつ、スキルの幅を少し広げてみるだけで、素敵な人と出会えるチャンスはぐんと広がります。
面接での「気づき」をすぐに反映させる
実際の面接で「この人は惜しいな」とか「この人は最高だ!」と思ったポイントを、すぐに理想の人のリストに書き加えます。また、辞退されてしまった理由も大切です。「他社の方がお休みが多かった」といった事実は、今のライバルに負けている証拠です。
こうして実際の採用活動で分かったことを、どんどん理想の人のリストに反映させていくことで、どんどん「生きたリスト」に進化していきます。
会社の成長に合わせて、理想の人も変えていく
会社が大きくなれば、欲しい人のタイプも変わります。最初は「なんでも屋」が必要ですが、次は「プロフェッショナル」が必要になるかもしれません。半年に一回くらいは「今のうちの会社に本当に必要なのはどんな人か?」を話し合う場を作りましょう。
こうして常に理想の人をアップデートし続けることが、いつまでも「良い人が集まり続ける会社」でいられる秘訣なのです。
まとめ
採用で「理想の人」を決めることは、単なる書類仕事ではありません。「うちの会社ってどんなところが良いんだっけ?」「次に来る人にはどうなってほしい?」と、自社の未来をワクワクしながら考えるプロセスです。現場の声を拾い、うちだけの良さを見つけ、それを理想の人に届く言葉に変える。この一歩が、採用の成功を大きく左右します。
どれだけ完璧な理想を作っても、世の中の動きに合っていなければ人は来ません。データの裏付けも大事ですが、最後は「現場の熱い想い」を大切にして、何度も磨き続けていくことが成功への分かれ道です。
当社では、多くの会社の採用をお手伝いしてきた経験から、その会社ならではの「理想の人」を一緒に見つけ、求人戦略を作るサポートをしています。「どんな人を呼べばいいか迷っている」「今のやり方を変えたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
【注釈・参考】
・労働政策研究・研修機構(JILPT)|企業の採用活動に関する調査
https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/137.html
・リクルートワークス研究所|中途採用におけるミスマッチの実態
https://www.works-i.ar.jp/
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