無断欠勤とは、就業日に従業員が連絡なく休むことを指します。無断欠勤を繰り返す従業員は、業務にも支障が出るためできれば辞めさせたい、という人事担当者も多いでしょう。
けれども、無断欠勤を繰り返したからといってすぐに辞めさせることはできません。無断欠勤を繰り返す原因や理由を探ってヒアリングしたり、しかるべき措置を取ったりするのが重要です。
無断欠勤を繰り返す従業員に悩んでいる人のために、無断欠勤の原因や理由、辞めさせるときの注意点などを解説します。
無断欠勤を繰り返す4つの理由とは
従業員が無断欠勤を繰り返す背景には、さまざまな理由があります。理由によっては本人ではなく会社そのものが理由の場合もあるのです。
今後の対応を考えるうえでも、無断欠勤をなぜ繰り返すのかを正しく把握しておきましょう。原因として考えられる、おもな4つの無断欠勤の理由を解説します。
自己管理ができない、責任がないなど本人の問題
従業員本人に原因がある場合の、無断欠勤の理由です。朝決まった時間に起きられないなど自己管理ができない、かんたんに言えば本人のだらしなさが無断欠勤につながっています。
寝坊を繰り返すたびに、「会社に連絡するのが面倒」「会社に連絡して怒られるのが嫌」などの理由によって連絡をしなくなり、無断欠勤となるのです。
また、仕事に対して責任を持っていないことも無断欠勤の理由になります。「バイトだから」「派遣社員だから」などの理由で、責任ある立場ではない=無断欠勤してもよい、とはき違えてしまうのです。もちろん、仕事に対する責任は正社員でもアルバイトでも同等です。
ハラスメントに悩んでいる
従業員本人が人間関係で悩んでいたり、なんらかの不当な扱いを受けていたりする場合も無断欠勤につながってしまいます。特に顕著なのが、以下のようなハラスメントに合っている場合です。
性的な嫌がらせや不当な扱いを受けるセクシャル・ハラスメント(セクハラ)
上司からの恫喝や無視など、立場を利用した不当な扱いを受けるパワー・ハラスメント(パワハラ)
同僚からのいじめや無視など、立場に関係なく不当な扱いを受けるモラル・ハラスメント(モラハラ) など
従業員がなんらかのハラスメントに合っている場合、原因のある会社から距離を取りたくなるのは当然です。ハラスメントを解決できる見込みがない場合、ある日突然無断欠勤してそのまま出勤しなくなってしまうこともあります。
精神的な疾患やその一歩手前
気分がひどく落ち込んでしまい、何もする気が起きなくなる「うつ病」をはじめ、従業員本人が精神的な疾患にかかっている場合も、無断欠勤につながります。
うつ病になると、何に対してもやる気が起きなくなるため、食事や入浴などの日常生活に支障が出るのはもちろん、朝起き上がれなくなることも多いのです。その結果、会社に連絡したくてもできないという状況となり、無断欠勤になります。
うつ病になる原因は人それぞれで異なります。業務量が多い、ハラスメントに悩んでいる、十分な休養が取れないなど仕事や会社が原因の場合もあれば、大切な人を失ったなど本人の精神に大きなダメージとなる出来事が原因の場合もあります。
うつ病はある日突然発症することもあります。昨日まで元気に出勤していた人が今日は突然来なくなった、というときには、うつ病などの精神的な疾患になっているか、またはなりかけていないかも疑ってみましょう。
事故や病気など物理的に連絡ができない
突然の病に倒れている、出勤しているときに事故に合ったなど、物理的に連絡ができず無단欠勤となるパターンがあります。身内に不幸があったなど本人の身の回りに突然の出来事があり、会社への連絡が後になってしまうこともあるでしょう。
ただし、事故や病気などは突発的な出来事であり繰り返し起きることではありません。
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無断欠勤で辞めてもらう前に企業がすべきこと
無断欠勤を繰り返していても、企業側としていきなり解雇はできません。
たとえ従業員側の無断欠勤でも、企業は解雇するまえに本人の意向や状況を確認したり、適切な対応をしたりするのが求められているからです。辞めてもらう前に企業がすべきことを解説します。
本人と連絡を取って無断欠勤の理由を把握する
無断欠勤を繰り返す場合、本人に連絡を取り、なぜ無断欠勤をしているかを把握しましょう。
本人の自宅や携帯電話に連絡がつかない場合には、実家や友人、知人へ連絡するのも有効です。賃貸物件の場合には、管理会社や大家さんに本人と連絡がつかない旨を連絡しましょう。
本人と連絡がついたら、無断欠勤の理由を聞かなければいけません。本人と面談する機会を設けましょう。無断欠勤の理由によって、企業として対応すべきことが異なってきます。
病気や事故などが原因の場合
うつ病をはじめとした精神的な疾患にかかっている、大きな病気、事故などに本人があってしまった場合には、本人が治療に専念できる環境を提供するのが重要です。
精神的な疾患の場合は、メンタルケアのできる産業医などを紹介しましょう。治療が長期にわたる場合には、休職も視野に入れます。
ハラスメント、不適切な労働などが原因の場合
セクハラやパワハラに合っている、時間外労働が多く十分な休みもとれていないなど、働く環境が無断欠勤の原因だった場合は、企業として適切な労働環境を提供するように取り組みましょう。
ハラスメントの場合は、事実関係を調査します。被害者である無断欠勤をした本人とハラスメントの当事者を違う部署にする、当事者には管理部から処罰を与えるなどの対応が求められます。
不適切な労働環境が原因の場合、環境を改善しないと無断欠勤した本人は戻ってきません。適切な労働環境か、風通しはよいか、人事評価制度は適切かなどをチェックし、環境の改善に乗り出しましょう。
本人が原因の場合
自己管理ができていない、仕事に対する責任が希薄など本人に原因がある場合は、ただ「本人がだらしない」だけで解決しないこともあります。以下のような原因が隠れている場合があるのです。
高卒、中退者中途採用などで社会人経験が少ない
隠された発達障害がある など
非正規雇用から正規採用した、中途採用などで社会人経験が少ない若年層の場合、社会人としてのルールやマナーが身に着いていないことがあります。
研修や講座を開催するなど、働くうえで必要なマナーや、仕事における責任について教育する機会を設けると改善することが多いです。
本人も努力していても、どうしても寝坊してしまう、連絡を忘れてしまう、などで無断欠勤をした場合には発達障害などが隠れている場合があります。本人にヒアリングを行ったうえで、産業医を紹介するなどメンタルケアにつとめましょう。
出社命令を送付する
本人に連絡しても出社しない場合は、出社命令を送付しましょう。出社命令は、書面で作成し郵送するなど、命令を出した証拠が残る形を選びます。
口頭での出社命令のみだと、解雇通知を送ったさいに「出社命令もせずにいきなり解雇通知が来た」とトラブルになる可能性もあるからです。
解雇通知書を送付する
本人との面談や出社命令、原因ごとに企業として適切な対応を行なっても無断欠勤が改善しない場合には、解雇も視野に入ります。
とはいえ、いきなり解雇通知書を送付するのではなく、第一段階として解雇予告通知を送付しましょう。解雇予告通知も、出社命令と同じく記録の残る形で送付します。
ここまで行って、企業側としてはやっと解雇通知が送付できるのです。
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まとめ:無断欠勤は企業と従業員の双方を見直すサイン
無断欠勤を繰り返す従業員への対応は、単に「辞めさせる」ことだけがゴールではありません。本記事で解説した通り、その背景には従業員本人の課題から、職場のハラスメント、心身の健康問題まで、様々な原因が隠されています。
重要なのは、一方的に本人を責めるのではなく、まず以下のステップを冷静に踏むことです。
1. 原因の究明: まずは本人と連絡を取り、なぜ無断欠勤に至ったのかを丁寧にヒアリングする。
2. 適切な対応: 原因に応じて、労働環境の改善、休職の提案、教育機会の提供など、企業として然るべき対応を行う。
3. 段階的な措置: それでも改善が見られない場合に限り、出社命令や解雇予告といった法的な手順に進む。
無断欠勤は、解雇の正当な理由になり得ますが、そのプロセスを誤ると企業側が法的なリスクを負うことにもなりかねません。
この問題を、単なる一個人の問題として片付けるのではなく、自社の労働環境やコミュニケーション体制を見直すきっかけと捉えることが、より健全な組織づくりへと繋がります。従業員が安心して働ける環境を整えることが、結果的に無断欠勤の根本的な予防策となるのです。